葉真中顕のブログ

作家・葉真中顕/はまなかあき のお知らせブログです。

吉川新人賞の結果と『絶叫』文庫版発売。

どもども。

吉川英治文学新人賞は、力及ばずでした。
受賞は、本城雅人さんと、宮内悠介さんでした。おめでとうございます。ぐぬぬ

文学賞、最後の一歩がなかなか遠いですね。ノミネートされるだけでも、もちろん光栄なのですが……、やっぱりどうせなら欲しいですよね。まあ、欲しいもの全部手には入ったら世話ないのですが(^^;)

まあ、とりあえずは余計なことを考えず、目の前にある仕事を一つ一つ一生懸命やっていきたいと思います。


で、それはそれとして、拙著『絶叫』の文庫版がこのたび発売になりました。

絶叫 (光文社文庫)

絶叫 (光文社文庫)


現時点で、最も評価されている作品だと思います。
私としても全身全霊を込めて書いた渾身の一作でもあります。
損はさせませんので、持ち運びやすくお求め安くなったこの機会に、是非手に取っていただければと思います。


文庫版解説は、単行本刊行時に対談させていただいた社会学者の水無田気流さんです。
品の背景となる戦後日本の社会構造や、〝「女の幸せ」という亡霊〟について、非常に鋭い分析をしていただいてます。本編と合わせて、こちらも是非ご一読いただきたいと思います。


どうぞよろりんこ。

吉川英治文学新人賞ノミネート、再び。

明けましておめでとうございます。
て、もう2月ですね。本当にね、もう、ずっと放置プレイですみません。

さてさて、ご報告が一つ。
拙作『コクーン』が第38回吉川英治文学新人賞候補になりましたです。わっしょい。

吉川新人賞は『絶叫』のとき以来、2年ぶり2度目となります。さて、今度はどうなりますことやら。
候補作が6作ありますので単純確率でも1/6。その上、滅茶苦茶強力な対抗馬がいますからねえ、どうかなあ。
もちろん山ほどある本の中から選んで候補にしていただけるだけでも、光栄だし励みになりますけども。

とまれ、まな板の鯉となりて結果を待ちたいと思います。

【業務連絡】担当編集者各位。
というわけで、吉川新人賞の選考会当日、関係者で待ち会を行う予定です。
一緒に待ってくださる方は、今月12日くらいまでに私宛にメールいただければと思います。
よろしくです。

小説幻冬で新連載。

そうそう。
27に幻冬舎から新創刊された文芸誌『小説幻冬』で、連載をはじめています。

小説幻冬 2016年 11 月号 [雑誌]

小説幻冬 2016年 11 月号 [雑誌]

タイトルは『凍てつく太陽』。
昭和20年、終戦間際の北海道を舞台にした、「北の特高」──北海道庁警察部特高課に所属する刑事の物語です。
頑張って面白くしたいと思います。

本になるのは来年かと思いますが、こちらもどうぞよろしくです。

『コクーン』サイン本

どもども。

先日、新刊のプロモーションで書店周りをさせてもらいまして
都内様下記書店様にて『コクーン』のサイン本つくらせていただきました!

くまざわ書店八王子本店様
オリオン書房ルミネ立川店様
紀伊国屋書店新宿本店様
三省堂書店池袋本店様
三省堂書店神保町本店様
八重洲ブックセンター本店様

これからご購入の向きには、是非ともご利用下さい!

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新刊『コクーン』発売。

どもども。

というわけで今年2冊目になる新刊『コクーン』が発売になりました!

コクーン

コクーン


カルト教団の無差別テロ事件によって人生を狂わされた人々の、〝以前〟と〝以後〟の物語。

教団に息子を殺された母親
教祖の幼なじみの男
逮捕された信者の妹
教団に妻を奪われた男
そして、教団の成立に密接に関わる女
──狂った世界の中で必死にもがく人々の振る舞いが、予期せぬ結果をもたらしてゆく。
人間の運命はあらかじめ決まっているのか? だとしたら、人間に自由意志はあるのか?
小説でしかたどり着けない善悪の彼岸を目指した入魂の一本です。

また、本作の単行本、カバーを外してみると……表紙に本編の「その後」を描いた掌編を仕込んであります。

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電子版や文庫にはつかない、紙の単行本だけのボーナストラックという試みです。
是非、ご一読ください!

新刊『ブラック・ドッグ』発売。

どもども。
と、いうわけで、新刊長編小説『ブラック・ドッグ』が、発売になりました!

ブラック・ドッグ

ブラック・ドッグ


「人間と動物は完全に平等であり、人間の都合で動物を利用することは差別──種差別(スピーシズム)──である」という思想を掲げる過激な動物愛護団体〈DOG〉。
彼らは、東京湾に浮かぶ人工島「海の森」のイベント会場を封鎖。来場者を閉じ込めた上で、人を食らう巨大な獣を解き放つ。
閉鎖空間の中、襲い来る恐ろしい獣たち。人間と動物は何が違うのか。人間を人間たらしめるのものは何か。極限状態で問われる倫理の限界線。生き残れるのは誰だ?──的なパニックホラーです。


本作には、大きな元ネタとなっている本が、二冊あります。
ピーター・シンガー『動物の解放』

動物の解放 改訂版

動物の解放 改訂版

テンプル・グランディン『動物感覚』

動物感覚―アニマル・マインドを読み解く

動物感覚―アニマル・マインドを読み解く


どちらも、かつて『犬部!』のコミカライズでシナリオを担当したときに、動物愛護のことを色々と調べていく中で出会った本です。

『動物の解放』は、本作のテーマにもなっている「種差別(スピーシズム)」という考え方を提唱したもの。
著者のピーター・シンガー功利主義という立場をとる倫理学者なのですが、彼は合理的な理論展開で、肉食の禁止をはじめとする、かなり極端な動物愛護思想を導きます。
わたし自身は、お肉大好きだし、シンガーの議論は受け入れられないのですが、いざ、否定しようと思うと、かなり難しい。それどころか、合理的に考えるとシンガーの結論が正しく思えてしまうんですね。(この辺の理路はアレンジして作品に反映してますので、是非確かめてください)
でも、その正しさを受けれてしまえば、たぶん今の人間社会を根本からひっくり返さなければならなくなってしまうわけです。やっぱり、わたしは受け入れらない。
で、こういうジレンマって、エンタメになるんじゃないかな、と着想を得ました。

もう一冊の『動物感覚』の著者、テンプル・グランディンは、ASD(アスペルガー症候群)の当事者でありながら、世界中の動物施設の監査をする動物学者です。
彼女は、暗算が得意だったり、緻密な絵が描けたりと、特定の領域でだけずば抜けた能力を発揮する「サヴァン症候群」のASD当事者の持つ感覚は、動物のそれと近く、ASDは人間と動物の間にある駅であると表現します。
彼女の主張は、シンガーとはまた違った形で、わたしたちが固定的に考えがちな人間と動物の関係を問い直すもので、とてもエキサイティングでした。(ちなみに、彼女は普通に肉も食べる人です)

で、こういった本で得た知見を、わたしなりにぐにゃぐにゃに解釈し、更に強引に『ミスト』とかのパニック要素と雑ぜ繰り合わせ、できあがったのが本作です。

ミスト Blu-ray

ミスト Blu-ray

今回は、これまでの作品とやや趣を変え、かなりエンタメに寄せた作品になっております。いっぱい人が死ぬし、例によって人間のクズもいっぱい出てくるんですが(笑)、そいうのが嫌いでなければ、ハラハラドキドキ、楽しんでいただけると思います。

是非、ご一読ください!
よろしくお願いします。ガオー!!

アイアムアヒーロー THE NOVEL

どもども。

もうすぐ実写映画が公開される花沢健吾さんの大ヒット漫画『アイアムアヒーロー』のスピンオフ小説集『アイアムアヒーロー THE NOVEL』に私も作品を寄せてます。
本日発売です。

いわゆるノベライズではなく、『アイアムアヒーロー』の世界観で各作家がオリジナルのスピンオフ作品を書いております。
私は「GAME is OVER」という将棋+人工知能+ゾンビという、変化球気味の短編を書きました。

よろしくです~。